補助金の不正受給とは?該当行為・罰則・発覚後の対応を解説

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補助金や助成金は、設備投資、人材育成、新規事業、販路開拓、雇用維持などを支援する制度です。
事業者にとって有効な資金調達手段である一方、申請内容に虚偽があったり、補助対象ではない経費を申請したりすると、不正受給と判断される可能性があります。
不正受給が認定された場合、受給額を返還すれば終わるとは限りません。
交付決定の取消し、加算金や延滞金の請求、一定期間の補助金・助成金の利用停止、事業者名の公表などが行われることがあります。
悪質なケースでは、補助金適正化法違反や詐欺罪として刑事責任を問われる可能性もあります。
ただし、補助金のルールに反した行為が、すべて直ちに「不正受給」になるわけではありません。
単純な計算ミス、要件の誤解、証拠書類の不足などは、不適正な受給として返還対象になることはあっても、故意の不正と同じ扱いになるとは限りません。
また、経済産業省などが所管する補助金と、厚生労働省の雇用関係助成金とでは、返還額、加算金、延滞金、公表基準などが異なります。
本記事では、補助金・助成金の不正受給に該当する主な行為、発覚するきっかけ、行政上・刑事上のペナルティ、不備に気づいたときの対応方法、未然に防ぐためのチェックポイントを解説します。

補助金の不正受給とは?

補助金の不正受給とは、一般に、虚偽の申請や架空取引などの不正な手段を用いて、本来受け取ることができない補助金を受け取る行為を指します。
厚生労働省は、雇用関係助成金について「偽りその他不正の行為により、本来受けることのできない助成金の支給を受け、または受けようとすること」と説明しています。
代表者本人だけでなく、役員、従業員、代理人など申請書類の作成に関与した人が不正を行った場合も、事業主による不正とみなされることがあります。
国の補助金については、補助金適正化法により、不正な申請や不正使用を防止するための基本的なルールが定められています。
同法では、交付条件や法令に違反した場合、交付決定の全部または一部を取り消せることとされています。

不正受給と不適正受給は区別して考える

補助金の申請内容に誤りがあったとしても、すべてが故意の不正受給になるわけではありません。
例えば、次のようなケースでは、不適正な申請や受給として修正、減額、返還を求められる可能性があります。

  • 対象経費の範囲を誤解していた
  • 消費税の扱いを間違えた
  • 計算式や金額を誤入力した
  • 必要な変更承認を受けていなかった
  • 証拠書類を紛失してしまった
  • 補助対象期間外に発注や支払いを行った

これらは返還や交付額の減額につながる可能性がありますが、意図的に事実を偽ったケースとは区別して判断されるのが一般的です。
一方、実際には存在しない取引を作ったり、金額を意図的に水増ししたりする行為は、不正受給と認定される可能性が高くなります。
重要なのは、申請内容と実際の事業内容、支出内容、証拠書類が一致しているかどうかです。

補助金・助成金の不正受給に該当する主な行為

不正受給は、申請書に虚偽の数字を書く行為だけではありません。
取引実態のない支出、金額の水増し、二重受給、キャッシュバックなど、さまざまな方法で発生します。

虚偽の申請や実績報告

売上高、従業員数、業種、所在地、事業実態、雇用状況などを偽って申請する行為です。
具体的には、次のようなケースが考えられます。

  • 売上減少要件を満たすために売上を少なく見せる
  • 存在しない従業員を対象者として申請する
  • 実際には勤務している従業員を休業扱いにする
  • 補助事業を実施していないのに実施済みと報告する
  • 実施日や発注日、支払日を改ざんする
  • 実際とは異なる事業内容を記載する

事実と異なる内容を記載した場合、受給前であれば不採択や不支給となり、受給後であれば交付決定の取消しや返還につながる可能性があります。
売上については帳簿、確定申告書、請求書、入金履歴など、従業員については雇用契約書、出勤簿、賃金台帳、給与振込記録などと照合できる状態にしておく必要があります。

架空取引

架空取引とは、商品やサービスの提供を受けていないにもかかわらず、請求書や領収書だけを作成し、補助対象経費として申請する行為です。
請求書や領収書が存在していても、取引実態がなければ適正な支出とは認められません。
調査では、契約書や請求書だけでなく、次のような資料が確認されることがあります。

  • 納品された商品や設備
  • 制作物や成果物
  • 作業報告書
  • メールやチャットの履歴
  • 打ち合わせ記録
  • システムの操作記録
  • 納品書や検収書
  • 振込記録

見積書、契約書、発注書、納品書、検収書、請求書、振込記録が一連の取引として整合していることが重要です。

水増し請求

水増し請求とは、実際の取引金額よりも高額な見積書や請求書を作成し、差額を不当に受給する行為です。
販売会社やコンサルティング会社から「補助金の上限まで請求額を上げましょう」などと提案された場合でも、実際の取引価格を超える金額を申請してはいけません。
事業者だけでなく、水増し請求に協力した取引先も責任を問われる可能性があります。

補助対象外経費の付け替え

補助対象にならない支出を、対象経費であるように見せかける行為です。
補助対象となる経費は制度ごとに異なります。
一般的な設備費、広告費、外注費であっても、すべての補助金で対象になるとは限りません。
経費区分だけで判断せず、最新の公募要領、交付規程、補助事業の手引きを確認する必要があります。

納品や支払いを装う行為

補助金では、実際に納品や支払いが完了していることが条件となる制度が少なくありません。
そのため、次のような行為は不正と判断される可能性があります。

  • 一時的に資金を振り込んで支払いを装う
  • 振込後に取引先から代金を返してもらう
  • 未納品なのに納品書や検収書を作成する
  • 補助事業終了後に納品されたものを期間内納品として報告する
  • 支払っていない代金の領収書を発行してもらう

銀行振込の記録があったとしても、その後に資金が還流している場合には、実質的な支払いがなかったと判断される可能性があります。

二重申請・二重受給

同一の事業や同一の経費について、複数の補助金・助成金に重複して申請する行為です。
制度によっては、異なる事業や明確に区分された経費について併用できる場合があります。
しかし、同じ設備費、広告費、外注費などを複数制度に計上することは、原則として認められません。
小規模事業者持続化補助金でも、同一の補助事業について国の他の補助金を重複して受け取ることはできないとされています。
重複を防ぐためには、補助金の名称だけでなく、経費の明細単位で管理することが重要です。
補助金ごとに次の項目を台帳化すると確認しやすくなります。

  • 申請した制度名
  • 対象事業
  • 対象経費
  • 見積先・発注先
  • 発注金額
  • 申請金額
  • 交付決定額
  • 支給額

名義貸しやなりすまし

実際の事業者とは異なる個人や法人の名義を使用して申請する行為も、不正受給に該当する可能性があります。
また、申請者本人の意思確認を行わずに、外部業者が申請内容を作成・提出することも問題になります。
ただし、専門家による申請支援や代理申請が一律に禁止されているわけではありません。
Jグランツでは、補助金ごとに代理申請が認められている場合、正式な委任・受任の設定を行ったうえで、代理申請者が申請内容を入力できる仕組みが設けられています。
代理申請者が入力した後も、委任元の事業者が内容を確認して提出する仕組みです。
外部の支援を受ける場合は、次の点を守る必要があります。

  • 正式な代理申請制度がある場合は所定の方法を利用する
  • IDやパスワードを安易に共有しない
  • 申請者自身が申請内容を確認する
  • 根拠資料を自社でも保管する
  • 虚偽の申請内容を提案する業者を利用しない
  • 支援者の作業範囲と報酬を契約書に記載する

申請を専門家に任せた場合でも、申請者側の責任がなくなるわけではありません。

キャッシュバックや実質無料の勧誘

「補助金を使えば実質無料になる」「後から代金を返金する」「広告協力費としてキャッシュバックする」といった勧誘には注意が必要です。
厚生労働省は、人材開発支援助成金について、訓練経費の返金、クーポン、サービス提供などを受けると、事業主が訓練費を全額負担していないと判断され、助成金を受給できない可能性があると注意喚起しています。
次のような提案は危険です。

  • 補助金支給後に代金の一部を返金する
  • 契約とは無関係な紹介料を支払う
  • 別契約を作って資金を還流させる
  • 高額な請求書を作り、差額を現金で返す
  • 補助金額と同額のポイントや商品券を渡す

値引きや返金がある場合は、実際の負担額に基づいて補助対象経費を計算しなければなりません。

不正受給が発覚する主なきっかけ

補助金の不正受給は、内部告発だけで発覚するわけではありません。
書類審査、実績報告、立入検査、取引先への確認など、さまざまな経路で発覚する可能性があります。

申請書類と実績報告の不一致

申請時の事業計画と実績報告の内容が大きく異なる場合、追加資料を求められることがあります。
例えば、次のような不一致です。

  • 見積書と請求書の金額が異なる
  • 申請した設備と納品された設備が異なる
  • 支払日と振込記録が一致しない
  • 計画していた事業が実施されていない
  • 成果物の内容が契約書と一致しない
  • 発注先や支払先が途中で変更されている

変更自体が直ちに不正になるわけではありませんが、制度によっては事前の変更承認が必要です。

立入検査や現地調査

補助金適正化法では、必要がある場合、行政機関が補助事業者に報告を求め、事務所や事業場に立ち入り、帳簿書類などを検査し、関係者に質問できると定めています。
経済産業省の補助金でも、不正受給の疑いがある場合、受給者だけでなく、請負先や委託先などの取引先を含めて現地調査が行われることがあります。
現地では、設備の設置状況、稼働状況、成果物、帳簿、支払記録などが確認されます。

取引先や従業員への確認

行政機関や事務局から、取引先や従業員に事実確認が行われることがあります。
自社では「納品済み」と説明しているのに、取引先が「まだ納品していない」と回答した場合などは、疑いが強まります。
申請内容に関する説明を取引先や従業員に口裏合わせさせる行為は避けなければなりません。

内部告発や第三者からの通報

元従業員、取引先、同業者、申請支援業者などからの通報によって調査が始まる場合もあります。
不正の疑いを隠そうとすると、問題が長期化し、資料の改ざんや隠蔽まで疑われる可能性があります。
社内で疑義が生じた場合に相談できる内部通報窓口を設けておくことも重要です。

不正受給が判明した場合の返還・処分

不正受給が認定された場合の処分は、利用した制度によって異なります。
国の補助金と雇用関係助成金を同じルールで説明することはできないため、それぞれ分けて確認する必要があります。

国の補助金における返還と加算金

補助金適正化法では、補助金を目的外に使用した場合や、交付決定の内容、条件、法令などに違反した場合、交付決定の全部または一部を取り消すことができるとされています。
取消しに該当する部分について既に補助金が交付されている場合、返還命令が行われます。
さらに、同法第19条では、返還を命じられた場合、補助金を受領した日から納付日まで、年10.95%の割合で加算金を納付することが定められています。
返還期限までに納付しなかった場合は、期限の翌日から納付日まで、未納額に対して年10.95%の延滞金が発生します。
ただし、すべての補助金や給付金で同じ割合が適用されるわけではありません。
地方自治体の補助金や個別の給付金などでは、条例、交付要綱、給付規程によって異なるルールが定められていることがあります。

雇用関係助成金における返還

厚生労働省の雇用関係助成金では、不正受給が認定された場合、原則として不正に受給した助成金の返還に加え、次の金額が請求されます。

  • 不正受給額の2割相当額
  • 不正受給日の翌日からの延滞金

また、不正受給決定日から5年間、他の雇用関係助成金を含めて受給できなくなる場合があります。
全額を返還していない場合は、不支給期間が延長されます。
雇用調整助成金については、不正発生日を含む判定基礎期間以降の支給額、2割相当額の違約金、年3%の延滞金が返還請求の対象になると案内されています。
このように、国の補助金適正化法に基づく加算金と、雇用関係助成金の違約金・延滞金では計算方法が異なります。

事業者名の公表

不正受給が認定されると、事業者名、代表者名、所在地、不正受給額、不正の内容などが公表されることがあります。
ただし、公表基準は制度ごとに異なります。
雇用調整助成金では、不正受給による取消額と、不正を理由に不支給となった申請額の合計が100万円以上の場合、原則として公表対象となります。
100万円未満の場合は原則として公表対象外ですが、特に重大または悪質と判断された場合は公表される可能性があります。
また、社会保険労務士や代理人が不正に関与した場合は、金額にかかわらず公表対象となります。
経済産業省の補助金でも、不正行為が認められた場合、事業者名や不正内容を公表することがあると公募要領に定められています。

補助金・助成金の利用停止

不正受給後は、一定期間、他の補助金や助成金を利用できなくなる場合があります。
経済産業省の補助金では、新たな補助金等の交付を一定期間停止する措置が取られることがあり、制度によっては最大36か月とされています。
雇用関係助成金では、不正受給決定日から5年間、原則として雇用関係助成金を受給できません。
利用停止期間や対象となる制度の範囲は一律ではないため、個別の交付規程や支給要領を確認する必要があります。

補助金適正化法違反による刑事罰

国の補助金について、偽りその他の不正な手段で交付を受けた場合、補助金適正化法第29条により、5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金に処され、両方が科される可能性もあります。
不正であることを知りながら補助金の交付や融通を行った人も、同様に処罰される可能性があります。
また、補助金を無断で他の用途に使用した場合は、同法第30条により、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が定められています。
行政機関から求められた報告を行わない、虚偽の報告をする、検査を拒否・妨害する、質問に虚偽の回答をするといった行為についても罰則があります。
法人の代表者や従業員などが、法人の業務として違反行為を行った場合、行為者だけでなく法人にも罰金刑が科される可能性があります。
なお、2025年6月1日から懲役と禁錮が廃止され、新たに拘禁刑が導入されています。
現在の法令を説明する際は、「懲役」ではなく「拘禁刑」と表記する必要があります。

詐欺罪に問われる可能性もある

補助金や助成金をだまし取る目的で虚偽申請を行った場合は、補助金適正化法違反だけでなく、刑法第246条の詐欺罪に問われる可能性があります。
厚生労働省も、雇用関係助成金の不正受給について、悪質な場合は捜査機関に刑事告発を行い、詐欺罪等に問われる可能性があると注意喚起しています。
刑事責任が問題になりやすいのは、次のようなケースです。

  • 架空の取引や従業員を作った
  • 偽造した請求書や賃金台帳を提出した
  • 複数人で役割分担して不正を行った
  • 何度も繰り返し不正受給した
  • 受給額が高額だった
  • 調査開始後に証拠を廃棄・改ざんした
  • 取引先や従業員に虚偽の説明を依頼した

単純な記載ミスと、補助金をだまし取る目的で行われた計画的な虚偽申請では、法的な評価が大きく異なります。

不正受給に気づいたときの対応

自社の申請に誤りや不正の可能性があると気づいた場合は、放置せず、早期に事実確認と相談を行う必要があります。

関係資料を保全する

最初に行うべきことは、関係資料の保全です。
次の資料を削除、廃棄、上書きしないようにします。

  • 申請書や実績報告書
  • 公募要領や交付規程
  • 見積書、契約書、発注書
  • 納品書、検収書、請求書
  • 振込記録、通帳
  • 帳簿、仕訳データ
  • メール、チャット
  • 成果物、作業記録
  • 外部業者との契約書
  • 申請システムの操作履歴

不正を隠すために資料を修正したり、後から書類を作り直したりしてはいけません。

事実関係を整理する

次に、何が問題なのかを客観的に整理します。

  • どの要件を満たしていない可能性があるか
  • 誤りがあった申請項目はどこか
  • 対象となる経費はいくらか
  • 故意の虚偽か、単純な誤りか
  • 誰が申請内容を作成したか
  • 誰が承認・提出したか
  • 外部業者はどのように関与したか
  • 既に受給しているか
  • 調査や照会が始まっているか

不明点を推測で埋めず、確認できた事実と確認できていない事項を分けることが重要です。

正式な窓口へ相談する

問題が判明した場合は、交付決定通知、公募要領、事務局ホームページなどに記載されている正式な窓口へ相談します。
雇用関係助成金の場合は、申請先の都道府県労働局やハローワークに連絡します。
厚生労働省も、不正・不適正な受給に気づいた場合は、速やかに申請した都道府県労働局へ自主申告するよう案内しています。
既に行政機関から照会を受けている場合や、刑事事件に発展する可能性がある場合は、弁護士に相談したうえで対応することも検討すべきです。
会計処理や税務への影響がある場合は、税理士や公認会計士への相談も必要です。

勝手に返金しない

返還が必要だと判断しても、指定されていない口座へ独自に送金することは避けましょう。
制度ごとに、返還申出書の提出、返還命令、納付書の発行など、所定の手続きがあります。
正式な窓口の指示に従って返還する必要があります。
返還方法を案内する不審なメールや電話にも注意し、連絡先や振込先が正規のものか確認してください。

自主返還をすれば加算金や公表を避けられるのか

自主申告や自主返還を行った場合の扱いは、制度によって異なります。
すべての補助金において、「調査前に返せば加算金が免除される」という共通ルールがあるわけではありません。
補助金適正化法では、やむを得ない事情がある場合に、加算金や延滞金の全部または一部を免除できる規定がありますが、自主返還を行っただけで当然に免除されるとは定められていません。
一方、持続化給付金など一部の給付金では、調査開始前に自主返還を申し出て返還を完了した場合、原則として加算金・延滞金を課さないという特別な運用が設けられています。
雇用調整助成金では、調査前に自主申告し、返還命令後1か月以内に全額納付したうえで、特に重大・悪質ではないと判断された場合、原則として事業者名を公表しないことがあります。
ただし、受給額、違約金、延滞金の返還が不要になるわけではありません。
自主申告による効果を自己判断せず、必ず該当制度の事務局や所管機関に確認することが重要です。

外部業者に任せていた場合も責任を問われるのか

申請代行業者、コンサルティング会社、社会保険労務士、行政書士などに申請を依頼していた場合でも、申請者側の責任が直ちになくなるわけではありません。
「業者に任せていたので内容を知らなかった」という説明だけで、返還義務や行政上の責任を免れることは難しいと考えられます。
外部業者が関与していた場合は、次の資料を保全します。

  • 業務委託契約書
  • 報酬や成功報酬の資料
  • 業者から受けた説明
  • メールやチャット
  • 申請書の作成過程
  • IDや認証情報の管理状況
  • 業者が作成・提出した資料
  • キャッシュバックや返金に関する記録

外部業者から虚偽申請を勧められた場合でも、その提案に同意して申請したのであれば、申請者も責任を問われる可能性があります。
一方、申請者の承諾なく内容を改ざんされた場合などは、事実関係を整理し、専門家と相談しながら業者への損害賠償請求や刑事対応を検討することになります。

不正受給を防ぐためのチェックポイント

不正受給を防ぐには、申請時だけでなく、採択後の発注、契約、納品、支払い、実績報告、書類保管まで一貫して管理する必要があります。

公募要領と交付規程を確認する

補助金ごとに要件や対象経費は異なります。
制度名が似ていても、次の内容は同じとは限りません。

  • 補助対象者
  • 補助対象経費
  • 補助対象期間
  • 発注可能日
  • 支払方法
  • 相見積の要否
  • 変更申請の要否
  • 他制度との併用可否
  • 実績報告の期限
  • 書類の保存期間

申請時に確認するだけでなく、採択後も最新の手引きや事務局からの通知を確認しましょう。

複数人で確認する

申請書の作成者、根拠資料の確認者、最終承認者を分けることが有効です。
特に次の項目は、複数人で確認する必要があります。

  • 売上高や従業員数
  • 補助対象経費
  • 見積金額
  • 発注日、契約日、納品日、支払日
  • 振込金額
  • 他の補助金との重複
  • 変更承認の有無
  • 実績報告の内容

申請担当者1人だけで、申請から支払い、実績報告まで完結させない体制が望まれます。

取引の流れを証明できるようにする

補助対象経費については、次の流れを一連の資料で説明できるようにします。

見積取得

社内承認

契約・発注

商品やサービスの提供

納品・検収

請求

支払い

帳簿への記帳

実績報告

※途中で内容や金額が変わった場合は、その理由と承認記録を残します。

補助金ごとの管理台帳を作る

複数の補助金・助成金を利用している場合は、制度横断の管理台帳を作成しましょう。
少なくとも、次の項目を管理します。

  • 制度名
  • 申請日
  • 交付決定日
  • 補助対象期間
  • 対象事業
  • 対象経費
  • 取引先
  • 交付決定額
  • 実績報告額
  • 受給額
  • 書類保管期限
  • 担当者
  • 変更手続の有無

同じ請求書や支出を複数制度で申請していないかを確認できる状態にすることが重要です。

怪しい勧誘を断る

次のような説明をする業者とは契約しないことが重要です。

  • 「必ず補助金が受給できる」
  • 「審査に通るよう数字を調整する」
  • 「実態がなくても書類を作ればよい」
  • 「補助金で実質無料になる」
  • 「後からキャッシュバックする」
  • 「申請内容は確認しなくてよい」
  • 「IDとパスワードを預けてほしい」
  • 「他社も同じ方法で申請している」
  • 「行政には分からない」

採択率や受給額を保証する業者、申請内容を十分に説明しない業者、契約書や成果物が不明確な業者は避けるべきです。

補助金の不正受給に関するまとめ

補助金・助成金の不正受給には、虚偽申請だけでなく、架空取引、水増し請求、経費の付け替え、二重受給、資金還流、キャッシュバック、名義貸しなどが含まれます。
不正受給が認定されると、交付決定の取消しや返還だけでなく、加算金・延滞金、補助金等の利用停止、事業者名の公表といった処分を受ける可能性があります。
悪質な場合には、補助金適正化法違反や詐欺罪として刑事責任を問われることもあります。
一方、単純な入力ミスや要件の誤解、証拠書類の不足が、直ちに故意の不正受給になるとは限りません。
ただし、不正ではなくても、要件を満たさない部分について減額や返還を求められる可能性はあります。
申請内容に誤りや不適正な点があると気づいた場合は、資料を改ざんしたり独断で返金したりせず、関係資料を保全したうえで事実関係を整理し、制度の正式な窓口へ速やかに相談することが重要です。
また、返還額、加算金、延滞金、公表基準、自主返還の取り扱いは制度によって異なります。
必ず最新の公募要領、交付規程、支給要領を確認し、必要に応じて弁護士、税理士、公認会計士、社会保険労務士などの専門家に相談しましょう。

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